閑散としたホールのカウンターに頬杖を突き、僕は通りに面した大きな窓の外をぼんやりと眺めていた。
大通りに面しているわけではないが、生活に密着した店が並ぶ道路の往来はそれなりに多い。
そんな中、ふと目を引く人影が通った。
背は百五十センチの半ばほどだろうか。一目見て髪の先まで手入れが行き届いていることがわかる、優しげな顔立ちの女性だった。
ゆるく巻いた髪は一見するとオレンジ。しかし、インナーカラーと、編み込まれた前髪のメッシュは白い。
愛らしいリボンをあしらったボレロワンピースも、ミニスカートから覗くニーハイソックスも同様に白。指先とニーハイソックスに縫い込まれたリボンの赤色が、アクセントとして効いている。
きっとああいうおしゃれな子はウチみたいなこぢんまりとした喫茶店ではなく、見た目に華やかなスイーツが食べられるSNSで話題の店に行くのだろうな、とひらひらと揺れる髪とリボンを見送りかけた時だった。
――彼女ははす向かいの、昼間からやっている居酒屋に入って行った。
昔馴染みの常連客しか行かないような、炭火の煙で長年燻された狭い飲み屋だ。
何のためらいもなく短いのれんを手で躱し、慣れた様子でカウンターの立ち飲み席に寄りかかるのが、ガラス扉の向こうに見えた。
もちろん、あの店では甘いカクテルなんて出てこない。
「……人を見かけで判断しちゃいけないよね」
すすったコーヒーの苦みで自分を戒め、僕は今度こそ彼女を盗み見るのをやめた。
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以前載せてた場所を閉じたので移動しました。
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